日本が先の太平洋戦争に負けて以来、我が国の歴史にたいする見直しが進んでいます。その中で特に、欠史8代といわれる崇神天皇までの歴史や、それ以降の神功皇后の歴史の見直しに至っては目を覆うばかりの論争がくりひろげられています。
　ある人は神功皇后について、「すべてが空想の物語である。要するにこれらの物語はその主人公に実在の人物らしい個人性の面影がなく、事績にも、或る人の、或る場合の行為になくてはならぬ特殊性がない」といわれています。またある人もオキナガタラシ姫の名前は七世紀につくられたものといわれています。
　　直木孝次郎氏は海外征服のヒロインとなる神功皇后像の構想について斉明天皇(37代)を参考にして神功皇后の物語を構想したのだろうと言われています。

　日本書紀の性格
　日本書紀は我が国古代の第一級の古文書です。中国の古文書を参考にして当時の我が国第一の官僚が精魂を傾けて調査をし、作成したもっとも信頼できる貴重な書物であるのにもかかわらず、古代史の学者さんは、まともにその内容を解明もしないで、戦前思想の反省の風潮に乗って、持論をくりひろげておられるようです。
　
　古代史学者の歴史の再評価の方向性
　戦後、の歴史の見直しは、それ自体正当な歴史の再評価だと言えますが、歴史家は自分勝手な歴史をねつ造しているように思えてなりません。それにより、日本書紀の古文書の字句を忠実に分析し、その神がかりと言われている神功皇后紀の中に歴史の真実を読みとろうとするのが、歴史家の正しい方向性ではないでしょうか。 古代には文字もなければ、記録もありません。そんな時代の出来事を研究するのですから、証拠の絶対量が不足しています。日本書紀は、いろいろな、伝承をできるだけ忠実に記録しています。古事記は、日本書紀の中の伝承の内、天照大御神や、皇室に都合のいい伝承をつなぎ合わせて、一つの物語にしています。古事記だけを読んでいたのでは、古代社会の歴史を推察することはできません。


　古代における祭祀の意味

　古代の人も、現代の人も思考の論理は同じです。ただ、情報量が極端に少ないので、不可思議なことは、神に問題をすりかえるのです。雨が降るのも、疫病がはやるのも、天変地異が起きるのもすべての原因を神のご機嫌にすり替えるのです。だから、神を祭るのです。神のご機嫌を伺うのです。現代でも。神のご機嫌を伺うために秋祭りが行われるのです。古代では祭祀の権限を掌握した人が政治を行うのです。祭政一致の政治が行われるのです。
　 それ故、神の託宣は天命のように受け入れるのです。神がこのように託宣されたからということが政治的決定を天下に受け入れさせる呪文のようなものなのです。何事も神の思し召しのままに事が運ばれるのです。 古代では、神を操る人、神の祭祀する人がお上なのです。神の祭祀は重要です。政治的決定を民衆に受け入れさせる道具なのです。人々に神の託宣だと認識させることによって政治的決定を実行させることが出来るのです。

戦後における歴史の見直し

　戦後、日本の歴史の見直しは、それ自体正当な歴史の再評価だと言えますが、日本書紀の古文書の字句を忠実に分析し、その神がかりと言われている神功皇后紀の中に歴史の真実を読みとろうとするのが、歴史家の正しい方向性ではないでしょうか。戦前の皇国史観からの反省から、極端な歴史の否定が行われています。楠正成公の朝廷に対する滅私奉公は語られなくなりました。
　追って解説いたしますが、神功皇后紀の場合でも同じです。神功皇后の存在そのものを否定しています。確かに史実性は認めれれません。神の託宣を多用しているのが、その証拠です。神の名を借りて、三韓征討を実行し大和に凱旋し、応神天皇の摂政として69年間政治を行っています。

日本書紀第九巻　神功皇后

　日本書紀第九巻神功皇后紀は虚構なのでしょうか。虚実な判断は読者諸氏の判断に任すとして、ここでは、日本書紀第九巻神功皇后紀を文言に沿って解釈を試みたいと思います。文言以外に歴史的な実在性の証拠は見出せません。しかしながら、文献を補強する材料は沢山あります。それは、日本各地に残る神社伝承や各地で語り継がれる民間伝承です。それらを検討し解釈をこころみた結果、神功皇后は実在説を補強してみたいと思います。

　神功皇后紀の新解釈
　そういう視点で神功皇后紀をじっくりと読んでみてください。私の神功皇后紀の解釈は以上のとおり明解です。神がかり的な叙述のうらに歴史の裏側が想像されるのです、神功皇后の三韓征討の物語にも何者が黒幕になっているのかが、分かります。また、どうして、神がかり的な叙述にしなければならなかったのかも想像できるのです。
　 仲哀天皇が暗殺されたなどと、わが国の歴史書に書けなかったのです。皇后が黒幕に操られていたなどと書けなかったのです。だから、神のご意向を多用しているにすぎません。そこを読み取らなければ、象のおしりを触って象の解説をしているようなもので、まともな解釈ができるはずもありません。 専門家とか、権威とか言われる人の頭を借りないで、自分自身の頭で考えることが、大事です。

　そして、仲哀天皇が何の興味も示さなかったのに、神功皇后がなぜ、三韓征伐という侵略戦争をはじめなければならなかったのかということを、解明しなければなりません。 　古代史に関する限り、誤解と歴史の創作が蔓延しています。証拠と文献の文言のみで歴史を解明している人がたくさんいます。アマチュアの郷土史研究家の中に、そういった素朴な研究者がいます。
　
古代史の学者が書かなかった歴史の真実

　仲哀紀から神功紀までの新解釈を出来るだけわかり易く紹介します。神掛りな歴史の裏の真実を読み解いてください。日本書紀の神功皇后紀は虚構ではない。新解釈の仲哀紀・神功皇后紀を読んで、驚くべきその実在性を検証してみてください。
　 日本書紀は我が国古代の第一級の古文書です。当時の我が国第一の官僚が精魂を傾けて調査をし、作成したもっとも信頼できる貴重な書物であるのにもかかわらず、 古代史の権威ある学者さんは真剣にその文献を解明しないで、戦前思想の反省の風潮に乗って、神功皇后紀は創作であるとか、絵空事との持論をくりひろげています。 そういう視点で日本書紀・神功皇后紀をじっくりと読んでみてください。私の神功皇后紀の解釈は明解です。神がかり的な叙述のうらに何者が黒幕になっているのかが、分かります。 また、どうして、神がかり的な叙述にしなければならなかったのかも想像できるのです