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 仲哀天皇の出自 |
日本書紀 巻第八
足仲彦（たらしなかつひこ）天皇の御代「仲哀天皇（ちゅうあいてんのう）」は日本武尊（やまとたけるのみこと）の第二子なり、母の妃は両道入姫尊（ふたじのいりびめのみこと）という。活目入彦五十狭茅天皇（いくめいりびこいさちすめらみこと）の女なり。容姿端正で、身長十尺（みたけひとつえ）。稚足彦天皇（わかたらしひこのすめらみこと）の四十八年に、太子（ひつぎのみこ）となり給う。その時年三十一歳。稚足彦天皇（わかたらしひこのすめらみこと）に男子の皇子がなかった。故に足仲彦（たらしなかつひこ）天皇が世継ぎとなられました。六十年に稚足彦天皇（わかたらしひこのすめらみこと）が崩御される。明年の秋九月に倭国（やまとのくに）の狭城盾列陵（さきのたたなみのみささぎ）に葬りまつる。 元年の春正月の庚寅（かのえとら）の朔庚子（ついたちかのえねのひ）に太子（ひつぎのみこ）天皇の位につく。 秋九月丙戌（ひのえいぬ）の朔（ついたち）に母の皇后を尊び皇太后と申し上げる。・・・・・・・・中略・・・・・・・ 足仲彦天皇二年の春正月甲寅（きのえとら）の朔（ついたち）甲子（きのえねのひ）に気長足姫尊（おきながたらしひめのみこと）を立てて皇后とする。
これより先に叔父彦人大兄（おとおじひこひとのおおえ）の娘大中姫(おおなかつひめ)と結婚して妃とされる。香坂(かごさかの)皇子・忍熊皇子（おしくまのみこ）を生む。次に来熊田造（くまたのみやつこ）の祖（おや）大酒主（おおさかぬし）の娘 弟媛と結婚して、誉屋別皇子（ほんやわけのみこ）を生む。
足仲彦天皇二年二月の癸未（みづのとひつじ）の朔（ついたち）戊子（つちのえねのひ）に角鹿（つぬが）に行かれる。行宮（かりみや）立ててお住まいしておられる。これを気比宮（けひのみや）という。その月の淡路屯倉（あわじのみやけ）を定める。
足仲彦天皇二年三月癸丑（みずのとうし）の朔（ついたち）丁卯（ひのとのうのひ）に、天皇、南の国を巡り狩りをされる。ここに、 皇后及び百寮（つかさつかさ）「天皇の側近の大臣等」を留められて 、天皇の身元に従える二、三人の卿 太夫（まえつきみ）および官人数百人と、軽（と）く行幸される。紀伊の国に到着し徳勒津宮(ところつのみや)(今和歌山市新在家か)におられます。
この時に当たり、熊襲（くまそ）が反乱をして貢物（みつき）をしなかった。天皇はここに、熊襲の国を討とうと思われた。徳勒津より出発して、船で穴門（あなと）に行幸された。即日に使いを角鹿（つぬが）に遣わしまして、皇后に告げられて、「すぐにその津を出発して、穴門で会いましょう」と告げられた。
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夏六月辛巳（かのとのみ）の朔（ついたち）庚寅（かのえとらのひ）に天皇は、豊浦の津（とようらのつ）に停泊しました。また、皇后は、角鹿（つぬが）を出発して、淳田門（ぬたのみなと）（福井県若狭 三方郡か)に到着なさって船上にて食事をされた。
その時、鯛（たい）が数多く皇后の舟のそばに集まった。皇后は、お酒を鯛に注ぎたまい、鯛（たい）はお酒に酔って浮かびあがりました。その時海人(あま)が沢山の魚を獲て、喜んで「皇后様から賜う魚である」と言った。それゆえ、その処の魚が夏の六月になると、常に口をぱくぱくさせてお酒に酔っているようで、このことがその由縁（ゆえん）であるということです。
秋七月辛亥（かのとのい）の朔（ついたち）乙卯（きのとのうのひ）に、皇后は豊浦の津に停泊される。この日に皇后、如意の珠（にょいのたま）を海中から手に入れられる。
＜ 注釈 如意の珠とは仏経では仏舎利（ぶっしゃり）から出たという宝玉で、これを持てばすべての願いがかなうという。皇后がそんな宝珠を海から得るということは、どういうことでしょう。海神である住吉の神を奉祭している人々からの贈り物と解することもできます。また神がかり的な神功記を読み取るヒントが隠されています。＞
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